医療連携 運動器疾患

銭田 良博 氏 維持期までの連携パスに展開し真の地域連携を目指したい

医療法人昌峰会 加藤病院
総合リハビリテーション室
理学療法士

銭田 良博 氏


●―八事整形医療連携会への参加や地域連携パスのメリットをどのように感じていらっしゃいますか?

急性期病院や他施設の診療内容を知ることで、これまでは自院での診療しか見えていませんでした。ところが、連携会への参加や地域連携パスを運用することで、地域全体の治療を把握した上で、当院の役割を認識できるきっかけになったことがまず感じたメリットです。急性期病院での担当の医師や看護師などと顔見知りになれば、その人の顔が浮かんできて、「あの先生のことはよく知っていますよ」と話すと患者さんとのコミュニケーションをとるきっかけにもなります。

一人でも多くの他施設のスタッフと顔見知りになれるよう、若手からベテランまですべてのスタッフに出席を義務づけています。多いときには10〜15人もが当院から参加している状況です。

また、私は愛知県理学療法士会の名古屋東ブロック長をしているのですが、連携会に参加することによって理学療法士同士の横のつながりが強化されたこともメリットです。


●―地域連携パス作成において連携先施設におけるリハビリスタッフの役割をお聞かせください。

回復期施設のPT(理学療法士)やOT(作業療法士)の視点から見えてくる課題を一つでも多く出していくことだと思っています。大腿骨頸部骨折の患者さんは高齢で独居の方が多く、認知症や脳血管疾患などを抱えている方も大勢います。そういう方にはADLや高次脳機能回復の訓練をなるべく早く始めることが有用です。この連携会に参加している当院のOTから、長谷川式簡易知能評価を早期に実施し、20点以下の患者さんには急性期の入院中から作業療法を開始してもらうよう提案したところ、採用されることになりました。OTからの提案議題が連携会で検討され、結果、改訂につながったことは1つの大きな前進だと思っています。


●―今後の課題や展望はありますでしょうか?

現在の地域連携パスは、急性期と回復期での使用にとどまっているのですが、維持期にまで発展させ、そこから急性期にフィードバックされるような真の地域連携を目指したいと思っています。

当院の在宅の復帰率は約7割です。家に帰れないさまざまな事情があって、施設入所になることはあるかもしれませんが、まず家に帰ることを目指すことが大切です。また、退院後もデイケアや訪問リハなどを活用して、入院中と同じようなリハビリを受けられれば安心して帰宅できますし、在宅ならではのリハビリも必要になってきます。そのために訪問看護やケアマネジャーなどとも連携して、きめ細やかな連携に広げていきたいと思っています。当院のリハビリは、入院時に担当していたPTや OTが、患者さんの退院後も訪問リハや通所リハ、あるいは外来で継続して診ることができるというメリットがあり、今後の課題である維持期との連携強化に生かしていきたいと思います。


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転載:アステラス製薬「Astellas Medical Net」